“空き情報FAX”という名の思考停止した営業手法
こんにちは、藤見です。
今日はちょっと勇気を出して、介護業界内の「ある習慣」に対して、僕なりの意見を言ってみたいと思います。
テーマは──
「空き情報FAX、もうやめませんか?」
これ、介護業界では長らく当たり前のように行われてきた習慣ですよね。
僕が現場にいた10年以上前から、今でもデイサービスやショートステイなどで「営業のやり方の一つ」として存在しています。
ご存知の方が大半だと思いますが、居宅事業所や地域包括に向けて「うちの空き状況はこんな感じです」と、FAXで送るあれです。
「うちは今週、月曜と水曜に2名空いてます」みたいな。
もちろん、何年もFAX1本で仕事が回ってきた事業所や施設も多いと思いますし、ケアマネジャーさん側でも「FAXなら見慣れてて安心」という声も根強くあるのかもしれません。
でも、僕はどうしてもこう思ってしまうのです。
「情報の更新スピードが遅すぎる」
「営業している感があるだけで、実際の成果は薄い」
「そして、もはや“選ばれる立場”としての発信方法ではない」
……と。
今日はその理由を、ちょっと掘り下げてみます。
そもそも、FAXで空き情報を送る理由とは?
まずは、一歩引いて考えてみましょう。
なぜ、こんなにも長い間「空き情報をFAXで送る」という方法が続いてきたのか。
理由はおそらく、以下のようなものだと思います。
- ケアマネジャーさんの多くが事務所にFAX機を持っていたから
- 文字で届くと確認がしやすく、何となく“記録に残る感”がある
- 「とりあえず送っておけば、何かあったときに思い出してもらえるかも」という期待感
- ネットもスマホも普及していない当時は、FAXが最先端だったから
たしかに、FAXは一方的に送れるので気軽ですし、インターネットやパソコン操作が苦手なスタッフでも対応できます。
でも、それってつまり、
“送る側の都合”でしかないということでもあります。
本当に「伝えたい相手に、タイムリーに、正確な情報を届ける」という目的があるなら、「今でもその手段は最適なのか?」と聞かれると、僕は首をかしげたくなるわけです。
一番の問題は「情報が古くなる速さ」
これが、もっとも強く感じているポイントです。
たとえば、月初にFAXで「●●デイサービスの今月の空き状況」を送ったとします。
でも、現場ってそんなに静的ではないですよね。
・急な体調不良でキャンセルが出た
・新規申し込みが立て続けにあった
・復帰予定だった人の再開が長引いた
……など、現場は「月単位」どころか「週単位」や「半日単位」で動いています。
つまり、月初にFAXを送ったその瞬間から、その情報はどんどん“賞味期限切れ”になっていくわけです。
そして、その情報を受け取る側のケアマネジャーにとっても混乱の元。
「あれ?どの曜日も空いてるって書いてあったけど、もう埋まってるんですか?どういうこと!」と、お叱りを受けてしまうことも、よく耳にします。
これでは情報の解像度が低すぎて、紹介する側もFAXの情報だけを頼りに紹介するのが怖くなります。
これと似たような経験をしたことがある人は多いと思います。
そして、こうしたやり取りが数回続いてしまえば、信頼がじわじわと減っていく。
実際、クライアント先の居宅ケアマネさんに話を聞いても、届いた空き情報FAXだけを見て紹介を決めることは、年々減ってきているようです。
「選ばれる施設」の共通点は、“受け身”じゃないこと
ここで一度、視点を変えてみましょう。
「どの曜日も満席が続いているデイサービス」と「空きが埋まらないデイサービス」の違いって、何でしょうか?
もちろん、立地やサービス内容の違いも影響していると思いますが、僕がいろいろなデイサービスを見てきた中で感じるのは、
「伝え方の工夫をしているかどうか」
この違いが、けっこう大きいです。
・公式LINEを活用して最新の空き情報を即時配信している
・ホームページに「現在の空き状況」バナーを設置している
・ケアマネに向けた定期的なメール配信を行っている
どれもFAXではできないことです。
特に情報のリアルタイム性はとても重要で、「明日の午後に1名空きが出た」となったら、それをすぐに知らせられる仕組みがあるかどうか。
それだけでも稼働率や売上は変わってきます。
「空き」を待っているのは、なにもケアマネさんだけではありません。
「もう1回多く通いたい」「楽しいから自費でも通いたい」という既存利用者さんの期待に応えられるかどうか。
その声に応えるには、FAXのタイムラグは大きな壁になるんです。
「やめること」は怖い。でも、変えないと先細る
僕が研修やコンサルをする場では、必ずといっていいほど「FAXをやめましょう」と伝えます。
でも、実際に「わかりました、FAXをやめます」と即答できる人は少ないです。
長年の慣習になっていますし、特にベテランのスタッフさんたちは「FAXこそが効果だ」という思い込みを続けている方もいる。
でも、よく考えてみてください。
この令和時代に、FAXを使い続けて得られる繋がりが明るいか?と考えると……どうでしょう。
今の若いケアマネさんたちは、紙よりスマホで情報を見ます。
FAXよりも、LINEやビジネスチャット、メールなどのデジタルツールを使う人が圧倒的に増えています。
つまり、“FAXに慣れ親しんだ層”に合わせ続けると、“これからの紹介者”に届かなくなる。
これって、かなりのリスクだと僕は思うのです。
とはいえ、いきなり全部を変えるのは難しい
ここまで偉そうにいろいろ書いてきましたが、これを読んでいる方に向かって「はい、明日からもうFAXはやめてください」と極端なことは言いません。
(※まぁ、クライアント先なら即効で中止してもらうけれど)
重要なのは、
「新しい伝え方」を同時並行で育てていくこと。
たとえば、
- 空き情報専用のGoogleカレンダーを作って、リンクを共有する
- LINE公式アカウントをつくって、月2回だけ配信してみる
- 空き状況をInstagramストーリーで写真付きで流してみる
最初は毎日更新しなくても大丈夫。
月に2回の更新でもいいんです。
でも、「アウトプットのやり方を変えようとしている」という動きを、ちゃんと見ている人がいます。
「あ、ここは、ちゃんと時代に合わせようとしてるな」
「フレッシュな情報が届きやすくて助かるな」
「情報に対するリアクションがやりやすくなったな」
そんな小さな感想でも、次第に大きく広がって、それが定着していけば、あとで大きな“選ばれる理由”に成長していきます。
というわけで
「空き情報を伝えること」が悪いわけではありません。
ただ、それをFAXという旧態依然としたツールで配信するだけで「営業をやった気になる」のは、本当にもったいない。
・一度送った情報をこちらで更新できない
・情報を見てもらえたのかが分からない
・そもそも誰が見ているかも不明
そんな状況を作り出してしまう営業手法からは、そろそろ卒業してもいいのではないか、と思うのです。
これからのデイサービス、介護事業所は「選ばれるための努力」をどうするか、が問われていく時代です。
その第一歩として「空き情報の伝え方」そのものを見直してみませんか?
今日はそんな提案でした。
それでは、また。
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