頑張れる人、優秀な人が数カ月で辞めていく現場で起きていることを説明してみる
こんにちは、藤見です。
今年もよろしくお願いします。
昨年末、ある管理者さんから「採用の悩み」を聞きました。
頑張ってくれる人や、優秀だと思っていた人が、なぜか辞めていく。
そんな相談でした。
仕事の覚えも早いし、ご家族や周囲からの評価も悪くない。
本人も前向きに努力しているように見えた。
それなのに、入社して数ヶ月で急に辞めていく。
経営者や管理者の立場だと、正直かなり堪えますよね。
なんで辞めたんだろう。
何が不満だったんだろう。
給料か。
人間関係か。
教え方が悪かったのか。
色々と原因を探したくなると思います。
ただ、こういう相談を受けるたびに、僕の中では、いつも同じ仮説が浮かんでます。
辞めた理由は、能力の問題でも、やる気の問題でもない
それ以前の、もっと手前の、
「そもそもの前提がズレていた可能性が高い」
という仮説です。
その管理者さんの会社で起きていることを、すごく単純化するとこうです。
本人(採用された人)が思い描いていた、もしくは期待をしていた職場の温度感と、実際の現場の温度感が”最初から”合っていなかっただけ。
こうした前提を入社前にスルーしておいて、
入社した後から整えよう(直そう)とするのは、かなり困難です。
正直、仕事に必要なスキルは後からでも教えられるけど、その人が仕事に求めている価値観や、仕事に対する考え方は、後からでは修正ができない。
ということが(経験上)圧倒的に多い。
──ということを、
人に説明するときに、僕がよく使っている例え話があります。
突然ですが、「3つの高校野球部」の話をします。
いつもは対面で説明しているので、スラスラ言えるんですが、文章でちゃんと伝わる説明ができるか不安ですが、なんとか頑張ってみます。
まずは、A高校の野球部。
この学校に入学する生徒は、学校の方針で全員が何かの部活動をすることになっている。
そんなA学校にある野球部です。
「サッカーより野球が好きだったから」という生徒が大半なので、部室で漫画を読んでいても基本的に怒られないし、練習も自由参加。
みんな野球は好きだけど、全然本気じゃない。
そんな温度感の野球部です。
つぎに、B高校の野球部。
そこそこ真面目に頑張っている野球部です。
放課後は練習用のユニフォームに着替えて、
決まった時間に練習もしている。
けれど、朝練はしないし、土日は完全にオフ。
地方大会でたまに勝つこともあるけど、基本は2回戦くらいで敗退。
「みんなで楽しく野球ができれば、それでいい」
そんな、いわゆる普通の野球部です。
最後に、C高校の野球部。
全員が甲子園出場を目指している野球部です。
朝早くから素振り練習、昼休みは筋トレ、放課後は実戦練習。
自宅に帰ってからも自主的に素振りする。
カラオケに行ったり、趣味や遊びに時間を費やす部員はいない。
何よりも「甲子園に行くため」に集まってきている。
そんな野球部です。
この3つの高校野球部を、まずは頭に置いてください。
さて、ここに「野球がしたい」と言っている新入生が三人います。
それぞれの野球に対する温度感は次の通りです。
一人目:Aの野球部を希望している生徒。
二人目:Bの野球部を希望している生徒。
三人目:Cの野球部を希望している生徒。
それぞれに、
「自分はこれくらいの温度感で野球をやりたい」
といったイメージをすでに持っています。
ところがです、
新入生たちが事前に得られる情報は乏しいです。
入学前の情報が少なすぎて、自分がどこに入学すれば希望通りの野球部に入部できるか、分かっていません。
そのため、
こんな残念な状態が起きることもあります。
A希望だった生徒が間違って【C高校】に入ってしまう。
C希望だった生徒が間違って【A高校】に入ってしまう。
こんなことが起きたらどうなるか?
A希望だった生徒が【C高校】に入ると、きっとこうなります。
「もう無理です、辞めたいです」
「朝から晩まで練習とか勘弁してください」
「こんなの、僕のやりたい野球じゃない」
「女子にモテるかなと思って始めただけ…」
逆に、
C希望だった生徒が【A高校】に入ると、どうなるか。
きっと、こうなります。
「本気で甲子園を目指したいのに」
「どうして先輩たちは部室で漫画読んでるの」
「もっと、真面目に練習しましょうよ」
「僕は漫画やカラオケより、野球がしたいです」
いずれにしても、
自分の希望と環境が合っていない状態が生まれるとしたら、
その本人には、とても辛いことです。
でもね、
辛いのは何も「本人」だけではないんです。
そこには、「もう一つの不幸」が生まれています。
それは、新入生を迎える側の先輩たち(2年生、3年生)です。
【C高校】の先輩たちは、甲子園に行くために本気で努力しています。
もしその中に、緩く野球がやりたいと思っているAタイプの生徒を(間違って)入部させてしまったらどうなるか。
価値観の違いで部室の空気は乱れる。
チームはまとまらずギクシャクする。
先輩がやりたい練習ができなくなる。
そこにいる部員は誰も幸せにならない。
ここまで頑張って練習してきたにも関わらず、Aタイプの生徒一人の軽率な行動が仇となって、大会に出場ができなくなる。
もしそんなことになったら、先輩たちは可哀想すぎます。
つまりは、
入部してくる新入生のことだけじゃなく、
先輩たちのことを大事に思っているなら、
「君はうちの野球部じゃ続かない」
「うちは本当に厳しい練習をしている」
「君が悪いんじゃなくて、ここはそういう場所なんだ」
入部を許可する権限を持つ監督は、このように言わないと駄目なんです。
逆に、Aの監督なら、
「君は甲子園を目指しているんだよね」
「だったら、申し訳ないが、うちは弱い」
「君はここにいてはダメになる」
と、Cタイプの生徒に伝えてあげないといけない。
それが誠実な対応ってもんです。
でね、
この例え話が、そのまま採用の話と同じなんです。
つながります。
さきほどの、「野球がしたい」と言っている新入生が三人います。
この言葉をそのまま「介護の仕事がしたい」と言っている人がいます。
に置き換えてみてください。
「介護の仕事がしたい」だけを鵜呑みにして、手放しで入社させたら、その後どうなるか?
もうさきほどの高校野球部の例で分かりますよね。
きっと、そこにはいくつかの不幸の種が生まれます。
デイサービスでも、介護施設でも、または飲食店でも。
求人広告に載っている情報は、
・給与がいくら
・休みが何日ある
・アットホームな職場です
・未経験者歓迎します
この程度しか表に出ていないこともザラです。
把握できる情報は浅いです。
仕事を続ける上で、とても大事な、
・組織の温度感
・経営者の価値観
・会社が目指している場所
・スタッフに目指して欲しい方向性
・ネガティブなことや弱点
については、
ほとんど書かれてないし、事前に把握しずらい。
だから当たり前のように、
Aタイプの人がCに来る。
Cタイプの人がAに行く。
こうしたミスマッチが起きる。
そのミスマッチを防ぐのが面接官(監督)の役割
頑張ってくれる人や、優秀だと思っていた人が、なぜか辞めていく。
それは、当事者に非がある問題じゃないくて、そもそも監督としての役割が果たせていないだけ、と言うこともできる。
なので、
これから面接に立ち会う人は、はっきりと「前提」を先に伝えてみるといい。
・うちはこういう場所を目指している。
・意識を高く持って、仲間を大事にする場所です。
・スキルだけ伸ばしたい人は合わないかもしれません。
・逆に、一緒に上を目指したい人には向いています。
こうした想いを持っているなら、腹を割って先に伝える。
そこを伝えずに「とりあえず戦力として採用する」をしても、ここのミスマッチは後から取り返せないから。
というわけで。
頑張れる人や、優秀な人が辞めていく現場で起きているのは、教育や育成の失敗ではなく、採用の前提が失敗しているかもしれない。
という話でした。
追伸:
「正直に、丁寧に、うちはこういう場所です」
と伝えてみてほしい。
もし、その時点で辞めてしまわれるとしても、それでいい。
今頑張って続けてくれている人を守ることにもつながるわけなので。
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