自費マッサージの「いくらですか?」に答える前にやるべきこと
こんにちは、藤見です。
デイサービスは、国によって報酬単価が決められた「価格競争」が存在しない業界です。
基本的に同じ要介護度であれば、どこも料金はほぼ横並びで、多少は地域区分による違いはありますが、それも自分たちでコントロールできる数字ではありません。
飲食店のように「うちは来月から値上げします」ができる仕組みではありません。
しかし、自費サービスだけは別物です。
利用者さんの意思で、「保険外(自費)でもいいから受けたい」と望まれるサービスの価格を、他に合わせる必要性はありません。
むしろ、この領域こそが、他社にはない魅力を打ち出す絶好の機会になります。
──とはいえ、
自由度が高いはずの自費サービスが、現場では「説明がしにくい」という悩みの種になっていることがよくあります。
その理由は大きく2つ。
まず1つ目は、スタッフの中に潜む「お金を受け取ることへの抵抗感」です。
カフェや居酒屋と違って、デイサービスや介護施設では「店内でお金のやり取り」がほぼありません。
普段の仕事で目に見えるお金のやり取りがないために、お金を受け取るマインドそのものが育ってない。だから、自費サービスを売り出そう、お勧めしよう、と乗り出しても、スタッフ自身が「なんだか申し訳ない」という心理が働いてしまう。声が小さくなってしまう。
これは売り方の技術以前に、売ること自体にブレーキが掛かっているというマインドの問題です。
自費サービスを盛り上げたいなら、まずはお金を受け取ることへの抵抗感をなくさなければいけない、そんな場面も多くあります。
2つ目は、お金に対する抵抗感があるために生まれているとも言えることですが、説明が「1点張り」になってしまうことです。工夫がなく単純な売り文句しか使っていない。
介護サービスなら1割2割の自己負担で済みますが、自費サービスとして受けるマッサージはそうはいきません。
「保険適応ではないので、自費のマッサージは全額負担になります」と金額だけをポーンと伝えてしまうと、ご家族の頭の中には「(保険に比べて)高いなぁ」という印象だけが残ってしまい、詳しく内容を理解する前に、会話が止まるケースも少なくありません。
ご家族が「一旦考えます(持ち帰ります)」と言ったきり申し込まないのは、自費サービスの中身が悪いからでも、お金がないからでもありません。
比較対象がないため、その金額が「高いのか安いのか」を判断できず、「断る」という行動が一番安全な選択肢になってしまっているだけです。
百歩譲って、メインの介護保険サービスが順調に伸びているなら、自費の売り方が下手だとしてもいいです。たまに売れるくらいの距離感でもいいと思います。
ですが、もし、ここを改善したいなら、例えば行動経済学で有名な「ゴルディロックス効果」や「極端性回避」というものを取り入れるのもありです。
これは簡単に言うと「松竹梅の法則」というやつです。
3つの選択肢を提示されると、人は自然と真ん中を選びやすくなるという心理です。
フレンチのコース料理で5,000円・7,500円・12,000円と並んでいれば、多くの人は安心感を求めて7,500円のコースに手が伸びる。
一番高額な12,000円コースは、ぶっちゃけ売れなくてもいいんです。なぜなら、「12,000円コースがある」と知ることで、「7,500円が妥当なコース」に見えてくるからです。
では、これを自費で行うマッサージに置き換えてみましょう。
「一回30分3,000円です」と伝えるのではなく、次のように並べてみてください。
「気になる部分を整える20分コースが2,000円。一番選ばれている全身の40分コースが3,500円。さらに温熱ケアを組み合わせた60分フルコースが5,000円です。はじめての方は40分コースを選ばれる方が多いですよ」と伝える。
前者は「3,000円を払うか否か」の二択になりますが、後者は「どのコースが親にふさわしいか」という選択の土俵に切り替えることができます。
この違いが、意思決定のしやすさに直結していきます。
ここで注意点が一つあります。
3つのコース(段階)は、すべて同じ熱量で、同じ情報量で具体的に説明することです。
高いコースだけ詳しく、安いコースはざっくり、では比較にならないからです。
大切なのは情報がフラットに開示されていること。条件が全部揃った状態で、ご家族が「自分で選んだ」という納得感があってこそ、後々の「聞いていたのと違う」というトラブルを防ぎ、満足度に繋がります。
というわけで、
料金設定を変えなくても、「見せ方・並べ方」を整えるだけで、相手の反応は変わります。
「売り込む」のではなく「選択肢を提案して、選んでもらう」というスタンスを、ぜひ現場で共有してみてください。
大切なのは、自費サービスを通じて利用者の生活の質を上げることであり、そのための入り口を少しの工夫で広げていくこと。
そして、伝え方一つで「よくわからない出費」から「一度試してみたいもの」や「親への大切なプレゼント」に変わっていきますよ、という話でした。
それでは、また!
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