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リーダー選びに手を抜くと後で痛い目を見る

  
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リーダー選びに手を抜くと後で痛い目を見る

こんにちは、藤見です。

今日は介護現場における「リーダー選び」についての話です。

介護の現場に長くいると、ある種の“お決まりパターン”に気づく瞬間があります。

それは──

現場歴が長い人が、リーダーに就任していくこと。

デイサービスでも、特養でも、グループホームでも。
ほぼ例外なく「経験年数」がリーダーの切符になっています。

「この会社で○年頑張ってきたから、そろそろリーダーに」というやつです。

もちろん、その本人が本当にリーダーに向いているなら問題ないんです。

でも僕は、この構造そのものに反対派です。

それはなぜか?

理由はシンプルで、

「リーダーに必要なこと」と「個人としてケアが上手いこと」は、まったくの別物だからです。

ケアが上手い人が、必ずしも人を動かせるとは限らない

介護職のスキルって、大きく2種類に分けられます。

  1. 自分の手で利用者さんに満足を与えるスキル(個人技)
  2. チーム全体で成果を出すためのスキル(組織運営)

たとえば、ベテラン職員のAさん。
入浴介助も、食事介助も、移乗も、レクリエーションも一流。
利用者さんからの評判も「Aさんがいると安心」と言われるようなタイプ。

…でも、

実際、このAさんがチームのリーダーになった途端、現場がうまく回らない、他のメンバーがぎくしゃくするケースは少なくないです。

なぜなら、

「自分でやるほうが早くて上手い人ほど、人に任せられない」

という基本的な穴があるからです。

「そのやり方じゃダメ、貸して、私がやるから」と手を出してしまいがちで、周りが育っていかない。

チーム全体の成長を止めてしまう。

Aさんは自分一人で頑張った結果、気力も体力も疲弊してしまって、「もうリーダーを降りたい」と言い出すことになる。

「現場歴=リーダー適性」は危険な思い込み

介護現場の人事でありがちなのが、「今までの個人の貢献度」を「今後のマネジメント能力」として考えてしまう(混同してしまう)ことです。

経験年数は、確かにその人のスキルや判断力を測る指標にはなります。

でもだからといって、人を動かす能力やチーム全体を見渡す能力は、必ずしも経験年数に比例しません。

むしろ、長く現場にいることで「自分のやり方こそ正しい」という固定観念が強くなり、新しいシステムを受け入れづらくなることもあります。

これは、リーダーとしては危険な要素です。

たとえば──

・会社が新しい方法を導入しても「うちは昔からこうだから」と否定する
・メンバーが問題を起こしても“その人の努力不足”で結論付けてしまう
・人に任せる、人に教えるよりも、「自分でやる」が優先されてしまう

これ、本人には悪気がないことも多いです。

むしろ「自分でやる」に関しては、その時は「良かれと思って」やっていることも多い。

でも、先々のことを考えて、チーム全体で考えると大きなブレーキになるものばかり。

これらは、ベテランゆえに起きやすい落とし穴かなと思います。

リーダーに必要なのは「自分を引く力」

リーダーの役割は、自分のスキルを披露することではないです。

僕が思う、リーダーに求められる役割は、「自分が一番動く」ことではなく、「自分を引いて周囲を活かす(動かす)」ことです。

つまり、「チームとして最高の成果を出すための環境を作る」ことです。

・メンバーの強みを見抜き、活かす配置や役割を考える
・問題が起きたら、感情的にならず公平に全体を整える
・スタッフ同士の関係を調整し、場の雰囲気を良くする
・会社の方針を理解して、現場に落とし込む役目を担う

これらは、入浴介助の手際の良さ、レクリエーションの企画力とはまったく別です。

「現場歴が長い」で選ばれたリーダーの末路

実際にあった話です。

あるデイサービスで、10年以上勤めていたベテランスタッフのBさんが、リーダーに昇進しました。

現場歴(勤続年数)の長さ、利用者からの信頼、誰も文句を言えないほどの現場スキル。

まさに“満場一致”での人事でした。

リーダーに就任して、最初の3ヶ月は順調でした。
でも、すぐに問題が出始めます。

・新人スタッフが次々と辞める
・会議が「できない理由」の発表会になる
・他のスタッフのやる気が下がる

原因は単純で、

Bさんに質問をしても

・「前にも言ったよね」と返され、気持ちが萎えてしまう
・失敗すると「だから言ったでしょ」と責められてしまう
・忙しくなると怖い顔になって相談がしずらくなる
・自分のやり方以外は基本的に認めようとしない

新人スタッフや他のスタッフからすれば、「この人の下では成長できない」と感じる条件が揃ってます。

結果、スタッフたちは「ご利用者」ではなく、リーダーである「Bさんの機嫌」を気にして仕事をするようになり、やる気もなくなる。

案の定、チームは混乱し、経営者は再びリーダー探しに奔走する羽目になる。

これ、珍しい話じゃなく、割とどの会社でも起き得る“予想できた未来”です。

リーダー選びに必要なのは「外の視点」

では、どうすればいいのか?

僕がクライアント先にいつも伝えているのは、「外の視点」を持っているかが大事ということです。

その人が──

・他人の意見を素直に聞くことができるか
・人に任せて育てることを意識できるのか
・自分がいなくても現場が回る仕組みを作れるか

このあたりの視点を持つことができる人なのか、冷静に評価する必要があります。

そして、

「リーダーは育てるもの」という前提を忘れないことです。

リーダーに即戦力を期待しない方がいいからです。

「就任した1日目から”頼れるリーダー”なんて誰もできません」といった前提で、会社がしっかり教育してサポートしていく環境を作ってあげることです。

「じゃあ今日からリーダーよろしくね!」と放置したり、「現場で揉まれてきたんだから、あとは自分でやれるよね?」と過剰な期待をすれば、ほぼ確実にリーダーは潰れます。

そうなる前に、まずはリーダー候補者の段階から、

・新人教育の担当をやってもらう
・小さなプロジェクトを任せてみる
・定期的に経営者からフィードバックを行う

こうした準備期間を設けて、ゆっくりと「リーダーとは何か?」を伝えてあげるほうが、定着率は高くなります。

最後に

リーダー選びは、人事の中でもっとも重要で、もっとも失敗できない決断です。

リーダー選びに失敗すれば、その人だけでなく、他にいるメンバー、チーム全体の士気、定着率、利用者さんへのサービスの質にまで影響します。

下手をすると、会社そのものの評判まで落ちかねません。

だからこそ、「この人なら任せても大丈夫」と胸を張って言える人を選ぶ努力を、会社は手を抜かずにやるべきです。

楽をして現場歴だけで判断しない。

それが、会社を長く守る方法だと思います。

それでは、また!

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