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有料化で揉める事業所と、納得される事業所の違い

  
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有料化で揉める事業所と、納得される事業所の違い

こんにちは、藤見です。

今日は、「これまで無料でやっていたサービスを有料にするとき、どう進めると揉めにくいのか」という話を書きたいと思います。

先日、あるクライアント先の会議で、こんな議題が出ました。

「これまで無償で行ってきたサービスを有料にしたいです」

という話です。

これ、今後いろいろな介護事業所で増えていく話なんじゃないかなと思っています。

物価はどんどん上がっているし、人件費も上がっています。備品代も管理コストも、以前と同じ感覚では見られなくなっています。

なので、これまで無料だったからというだけで、この先もずっと同じように続けるのは、かなり難しくなっていくと思います。

会社だけで必要経費を抱え続けても、必ず無理が出てしまう。

なので、大前提として、僕は有料化そのものには賛成ですし、サービスの質を守るために有料化に踏み切る判断は、経営者として自然なことだと思います。

ただ、ここで一つ考えておきたいことがあります。

有料化は、「やるか、やらないか」だけで考えると結構危険です。

大事なのは、「いつから始めるのか」と「どのように伝えるか」です。

その会議の中で、サービスの担当者からこんな話が出ました。

「今年の10月から有料化を始めようと思っているので、7月中に案内を出せば、検討時間も十分あると思うんです」

たしかに、会社視点で見るとそう見えます。

7月に案内して、10月から開始であれば、2ヶ月以上あります。

でも、ご利用者さんやご家族の立場から見ると、この2ヶ月の感覚は少し違って見えると思います。

「え、急に?」
「それって、もう決定なんですか?」
「家族にも相談しないといけないんですけど」
「どうして急に変わるんですか」

こういう反応が出ても不思議ではありません。

ここで大事なのは、これは金額だけの問題ではないということです。

もちろん、支出が増えること自体も大きなことです。

でも、それ以上に引っかかるのは「急に言われた感じ」だったりします。

ここを甘く見ない方がいいと思っています。

介護サービスの変更は、ご利用者さん本人だけで判断できるとは限りません。

ご本人がいて、ご家族がいて、ケアマネジャーさんがいて、場合によっては兄弟姉妹や親族にも確認が必要になることがあります。

たとえば、有料化の案内を受け取った人が、その場ですぐに「はい、わかりました」と判断できるとは限りません。

一旦家族と相談する。
ケアマネさんに確認する。
他に使えるサービスがあるか調べる。
他の事業所との併用も考える。

こういう時間が必要になるはずです。

会社側は、「案内してから2ヶ月”も”ある」と考えます。

でも、ご家族側は、「案内が来てから2ヶ月しかない」と感じるかもしれません。

同じ2ヶ月でも、見え方がまったく違うんです。

僕はこの時、賃貸住宅の家賃が上がるときの話を例に出しました。

管理会社から急に「来月から家賃が上がります」と言われたら、誰だって身構えますよね。

「いやいや、それはちょっと急じゃないですか」と思う人も多いはずです。

でも、値上げの背景をきちんと説明してもらうと、少し受け取り方は変わります。

物価が上がっています。維持費も増えています。建物の管理にも費用が掛かっています。だから半年後から見直しをします。質問があればこの期間に相談してください。

こう言われると、同じ値上げでも印象は変わると思います。

「一方的に押し切られた」と感じるか。

「事情は分かったうえで、考える時間をもらえた」と感じるか。

この差はかなり大きいです。

介護サービスの一部有料化も、これに近いと思っています。

会社側としては、「決まったことを伝えるだけ」になりがちです。

でも、ご家族からすると、「これからの利用方法や費用負担を考える話」です。

ここにズレが発生しがちです。

このズレを見落とすと、本来なら理解してもらえるはずの変更でも、反発が生まれてしまいます。

なので僕は、その会議でこう提案しました。

「今年中はお知らせと相談、質問対応の期間にして、来年1月から有料化を始めるくらいの余白があった方がいいと思います」

これは、有料化を先延ばしにしましょうという話ではありません。

むしろ逆です。

必要な費用は、きちんといただいた方がいいです。

事業を継続をする上で大事なことですし、サービスの質を守るために見直しが必要になることもあると思います。

ただし、その有料化の判断を受け取る側が納得しやすい形に整えた方がいいと思うんです。

伝え方を間違えると、「サービスを続けるための見直し」ではなく、「急にお金を取られる話」として受け取られてしまうからです。

有料化を進めるときは、少なくとも次のことが落ち着いて確認できる状態にしておく必要があると思います。

なぜ必要なのか。
いつから始まるのか。
いくらかかるのか。
利用するかどうかを選べるのか。
わからないことは誰に相談すればいいのか。

このあたりが曖昧なままだと、ご家族は不安になります。

そして、もう一つ大事なのが、担当のケアマネジャーさんへの共有です。

事業所から案内を受け取ったあと、ご家族がそのまま担当のケアマネジャーさんに相談することはよくあります。

その時、ケアマネジャーさんが何も知らないと、話がちょっとややこしくなります。

「いつそんな案内が出ているんですか?」
「内容を確認してから返事しますね」

となります。

事業所が悪いことをしているわけではないけれど、情報の順番がズレるだけで、ご家族の中に不安が生まれ、ケアマネジャーさんから不審に思われます。

こうなるのはもったいないです。

なので、ご利用者さんやご家族に案内を出すと同時に、担当のケアマネジャーさんにも共有しておく。

さらに言うと、現場スタッフにも内容を正しく共有しておくといいと思います。

「こう聞かれたら、こう答えてください」というマニュアル対応ではなく、「ご家族はこういう不安を感じるかもしれません」とあらかじめ伝えておくことが大事です。

そうすると、対応の温度が変わります。

言葉は同じでも伝わり方が変わります。

あと、契約内容の一部を変更する場合は、覚書を取り交わすこともあると思いますが、長くなるので、ここでは割愛します。

兎にも角にも、

会社が悪いことをしているわけではないのに、情報の順番がズレるだけで、不信感のようなものが生まれてしまうのはもったいないです。

正直、手間と時間はかかりますが、こうした手間を省いたことで、あとから説明に追われたり、一度損なった信頼を取り戻すことになる方が、もっと大変です。

これは介護サービスに限らないと思いますが、人は「変更そのもの」よりも、「変更のされ方」に反応することの方が多いと思います。

急に言われた。
言われた時にはもう決まっていた。
事前に相談する時間がなかった。

こう感じると、内容が正しくても受け入れにくくなります。

逆に、

背景を説明してもらえた。
事前に考える時間があった。
不明点を相談できる相手がいた。

こう感じられると、同じ変更でも受け止め方は変わります。

というわけで、

これまで無償で対応していたサービスを有料化するなら、「いくらにするか」や「いつから始めるか」だけで考えずに、

どう伝えるか、誰に先に共有するか、どれくらい考える時間を用意するか。

そこまで含めて設計しておく。

急な変更で揉めている事業所と、納得されながら進められる事業所の違いは、たぶんこのあたりに出ます。

同じ有料化に踏み切るなら、「急に言われた」ではなく、「ちゃんと考える時間をもらえた」と感じてもらえる進め方にしていきましょう。

僕は、金額以上にこの点が大事だと思っています。

それでは、また!