「事業として継続させていくためには、お店側もお客さんを選ぶ必要がある」と表現することはいけないことなのだろうか?
ルールや制度を守るのは当然として、その上でどうやって自分たちの事業を存続させて発展させていくか?ということを国に頼るのではなく自分たち自身が考えて行動して、自分自身を変化させていくしか生き残っていく道はないわけです。
そのためには介護事業とはいえ、お店はお客さん側から選ばれなければいけないですし、お店側もお客さんなら誰でも良いと受け入れていてはいけない。と思うわけです。
…と、いうことで。こんにちは藤見です。
席数に限りがあるので予約が入っている席がキャンセルになると事業としてはとても痛手になってしまうデイサービスの話の続きです。これから書く内容は前回、前々回からの続きを意識しているのでもしよければそちらもご覧ください。
前回のブログに最後書いたように、「誰でもいいからウェルカムをするとなぜ危険なのか?」は「あまり表に出てこないキャンセル問題」と密接な関係がありそうということを書いたのですが(もはや結論はそこなのですが)さらにもうちょっとだけ踏み込んでみることにします。
実は以前、クライアント先のとあるデイサービスに協力をしてもらって「予定されていた予約数と実際に使用された席数の乖離はどのくらいあるのか?」という数字を出してみました。
もし利用者さんが提供表(というプランニング)の通りにすべて通ってくれたとしたら利用予定=利用実績ということになります。これを俗に言うキャンセル率0%状態と言ったりもします。
ちょっと余談ですが
とある県で複数店舗のデイサービスを経営している会社さんがしきりにキャンセル率を下げることに執着していて、その改善率で管理者さんを評価していたのですが、キャンセル率はあくまでも一つの目安でしかないわけで、極端なことを言えば全体の利用者が5人しかいないお店がキャンセル率を下げることと、利用者が30人いるお店がキャンセルを無くすことは根本で意味合いが異なるはずです。
お客さんが5人しかいない管理者さんがキャンセル率を下げることに執着している姿には違和感しかなった、という思い出があります。『いや、まだ5人しかいないんだから10人20人と集客することに体力使おうよ』と思ったものです。
さて話を戻します。
デイサービスに馴染みのない方に向けて少し説明すると、デイサービスというサービスを使うには、利用するお客さん(利用者さん)とサービスを提供するデイサービスと、さらにそのサービスをプランニングするケアマネさんの3者間で「Aさんは月曜日と木曜日にデイサービスを利用しましょう」というような話し合いがあります。
そこで、デイサービスではすでに月曜日には7人のお客さんがいる状態だとすると、このAさんの話しがある時点で残った3席のうち1席をAさんのために確保することになるので、月曜日の残りは2席となります。(10名定員だとするとね)
木曜日も同様で、残りが1席しか無かった場合は最後の1席をAさんが座ることになるので木曜日はこの時点で満員状態ということになります。
デイサービスの担当者(特に相談員さん)は1本電話が鳴ると同時に、現在の空席状況はどうだっただろう?と頭に思い浮かべながら新規の対応をしているわけですが、こうした話し合いの後もAさんを迎えてサービスを開始するまでにはまだやることが山のようにあります。
店内でお客さんの来店を確認してからサービスを開始する飲食店とは違って、お客さんの自宅まで迎えに行く「送迎」がセットで付いているのがデイサービスです。
もし席に空きがあったとしても同じ曜日の他のお客さんの自宅と物理的な距離の問題で送迎が叶わないケースもあったりするので、頭の中の地図はてんやわんやすることが多いです。(送迎を組む大変さは担当しないとわからない、なんてことはよく言われます)
他のお客さんの送迎ルートを踏まえてAさんの自宅までの道順を調整したり、出発時間を工夫したりといった感じで、デイサービスを新しく利用する人がいる裏側の段取りは決して楽ではないわけですね。
あっさりと来店をキャンセルされちゃうことも
ま、どの業種どの業態でもそうした裏側の苦労は付き物だと思うので今さら嘆いても仕方のないことではあるんですけど、スタッフがあれこれ段取りして「さぁ、今日は月曜日のAさんが来る初日だ」とお迎えに行った玄関先で「今日は行かない」なんてあっさり言われちゃうことは珍しくないわけです。
となると、デイの送迎スタッフは無理やり連れてきたりなんてことができるわけもなく、(Aさん以外にご家族が同居している・いない、Aさんの介護状態などを踏まえてその場は判断することになると思いますが)かたくなに行かないと主張されてしまうと諦めて次のお客さんのところに車を走らせるしかなくなります。(誰も言わない空気が蔓延してますが、完全な無駄足)
それでも現場のスタッフさんは次の木曜日になるともう一度車を走らせてお迎えに行きます。
でも・・・また・・・あららぁ。なんてこともある時はあります。
ちょっと余談ですが
こういう場合でも上手に連れてくることができるのが腕の見せ所だと言って「俺がいく」「私に任せて」みたいなベテランさんがいますが、ベテランなら若いスタッフにもそのコツなり意識していることを教えてあげて欲しい、と何度も思ったものです。ベテランのスタッフに役割を奪われた他の若いスタッフさんは「私にはこの仕事向いてない」「自分は役に立てない」と思い詰めてしまって送迎業務がやりたくなくなったり、辞めてしまったりすることがあるにはあるので、これまた頭の痛い問題です。
閑話休題
さて冒頭の「当初予定されていた予約数と実際に使用された実績数の乖離はどのくらいあるのか?」という数字なんですが、数ヶ月間の平均を出したところ、月の売上を100とした場合にキャンセルで失った売上は少なく見積もっても20、多い月だと30近い数字になることもありました。ということは、必然的にデイサービスの売上も2割近くは減ることになります。
(この中には致し方ないキャンセルも当然含まれているので全てのキャンセルが困るなぁーということではないんですが…)
1店舗あたりの月の売上予定が300万だとするとそこから60万近く減少した240万が実際の売上になるので、「事業」として考えると実は不安定です。
(もう慣れっ子だよ…というオーナーは多いけれども^^;)
当初の予約状況から売上が2割も下に動くとなると例えば変動費の調整なんかも大変だたりします。主にはスタッフ(人員)の人件費だったり。
飲食店や小売店であれば、制度上これだけのホールスタッフを配置してくださいという指示はありませんが、デイサービスにはその現場に必要な人員配置がすでに規定されているので極端に少人数で対応することはできません。一定数は必ずそこに配置しなければいけないわけですが、2割もお客さんが減ってしまうと人件費率にもそのしわ寄せはきてしまいます。
規制のある状況下でどのように戦うのか
念の為に付け加えると、規定されている基準やルールに物申す意図はまったくなく、そういう規制のある状況下でどうやって事業として成立させていくか?を考える意識が大事だと思っているわけです。
まだ事前に電話で連絡があって「明日は休みます」と一報がある場合はシフトを動かしたり送迎の無駄足をなくすためにルートや時間を変更したり(対応するスタッフさんはそれも大変ではあるけど)、それでもまだなんとか対処ができるんだけど…と、管理者さんが口にすることは多いです。が、当日に玄関先で「休む」となった場合には、もうね。正直泣きが入るわけです。マジかぁ・・・と。
あまりこういうことを表だって言う管理者さんもデイさんもないんですけど、実際にはそれが積み重なって事業が傾いて…といったケースもあるくらい大変です。
ある程度キャパが大きかったり、送迎車が何台もあったり、送迎スタッフが専属で雇える状況だったりすると臨機応変さの幅は広がりますが、デイサービスはほぼ9割が小規模と言われるくらい小さい枠でやるので、死活問題とも言えるわけです。
それを今の制度や規制や環境に対して嘆いたところで『いまさら感』は否めないので、やはり僕たちがやらなきゃいけないのは、この状況下でどうやって戦うのか?どうやってよりよいサービスを届けるのか?と日々考え続けるしか活路は見いだせないように思います。
「誰でもいいからウェルカムをするとなぜ危険なのか?」を「あまり表に出てこないキャンセル問題」と絡めて説明するつもりがまた長くなってしまいました。
次こそ核心に迫りたいですね。
また書きますね(^^)
追伸1:
ここまで読んでくれた方でこのキャンセル問題について共感してくれた方とは、いつかどこかで一杯飲みたい気持ちになります。(お酒弱いけど)
追伸2:
現場からはほとんど表に出てこないキャンセル問題との上手な付き合い方は「誰でもいいからウェルカムしないこと」というゴール(結論)になるわけですが、もう少し続きます。
\ 無料メルマガ特典 /
「介護集客のヒントが見つかる!」と話題の
セミナー映像(90分)を公開中
さらに!!
2つ目の特典として完全書き下ろしの「集客レポート(14,000文字)」もプレゼント中です。デイサービスや介護施設の集客力アップに役立つヒントが盛りだくさんになっています。
この機会に「ふじみの無料メルマガ」に登録してセミナー動画&レポートをGETしてください。
\ こちらも要チェックです /
採用担当者として「面接や面談」に悩みがある人はこちらもご確認ください